▶︎ 犬が耳をかく、耳が臭う… それは「外耳炎」かもしれません
🐶 犬の外耳炎シリーズ 第1回
「外耳炎とは?耳の構造と早めの受診が大切な理由」
「最近、耳をよくかいている」
「頭を何度もブルブル振る」
「耳から嫌な臭いがする」
このような症状がみられたら、「外耳炎」のサインかもしれません。
犬の外耳炎は、動物病院で診察する機会が非常に多い病気の一つです。
「少し耳が汚れているだけだから様子を見よう」
「家で耳掃除をすれば治るかな」
そう思われる飼い主さんも少なくありません。
しかし、外耳炎は放置すると慢性化し、何度も繰り返すことがあります。早い段階で適切な治療を始めることで、犬への負担も少なく済むことが多い病気です。
今回は、外耳炎とはどのような病気なのか、基本的な内容についてご紹介します。
外耳炎とは?
外耳炎とは、耳の入り口から鼓膜まで続く「外耳道」に炎症が起こった状態です。
犬の耳は、人の耳とは違い、途中で直角に曲がる「L字型」の構造をしています。そのため湿気がこもりやすく、一度炎症が起こると耳垢がたまりやすく、悪化しやすいという特徴があります。
診察では、「少し耳が汚れているだけ」と思って来院されたものの、耳の奥では炎症がかなり進んでいたというケースも珍しくありません。
こんな症状はありませんか?
外耳炎では、次のような症状がみられます。
- 耳をよくかく
- 頭を何度も振る
- 耳を触ると嫌がる
- 耳が赤い
- 耳垢が増えた
- 耳から臭いがする
- 耳を床や家具にこすりつける
これらは、犬からの
「耳がかゆい」
「耳が痛い」
「耳が気持ち悪い」
というサインかもしれません。
耳を気にする様子が数日続く場合や、臭い・耳垢・赤みがある場合は、一度診察を受けることをおすすめします。
耳が汚れている」ことが原因とは限りません
外耳炎になると耳垢が増えるため、
「耳が汚れていたから外耳炎になった」
と思われることがあります。
しかし実際には、
外耳炎になった結果として耳垢が増えていることも少なくありません。
診察でも、
「耳掃除を頑張っているのに治りません。」
というご相談をよくいただきます。
耳掃除が足りないから治らないのではなく、耳の炎症を起こしている原因が残っていることが多いためです。
この「原因」を見つけることが、外耳炎の治療ではとても大切になります。
放置すると治りにくくなることがあります
初期の外耳炎は比較的改善しやすい病気です。
しかし、炎症が長く続くと耳道が腫れて狭くなり、耳垢がさらにたまりやすくなってしまいます。
その結果、お薬が奥まで届きにくくなり、外耳炎を繰り返すという悪循環に陥ることがあります。
さらに重症になると、中耳や内耳まで炎症が広がる場合もあり、治療が長期化することもあります。
そのため、「少しかゆがるだけだから」と様子を見過ぎないことが大切です。
外耳炎の治療で私たちが大切にしていること
外耳炎の治療は、一度で終わるとは限りません。
耳はとても敏感な場所です。
炎症が強い耳を無理に掃除すると痛みを伴い、犬が耳を触られること自体を嫌がるようになってしまうことがあります。
その結果、ご家庭で点耳薬が難しくなったり、診察そのものが大きなストレスになってしまうこともあります。
そのため当院では、
「今日は全部きれいにしようとは思わなくて大丈夫ですよ。」
と飼い主さんへお話しすることがあります。
耳の状態や犬の性格に合わせながら、
「優しく、根気よく、丁寧に。」
少しずつ耳の状態を改善していくことを大切にしています。
自己判断せず、悪化する前に軌道修正を
外耳炎の中には、一度治療すれば再発しないものもあります。
一方で、体質やアレルギーなどが関係し、繰り返しやすい外耳炎もあります。
そのような場合に大切なのは、
「悪くなってから治療する」のではなく、「悪くなる前に軌道修正すること」です。
症状が落ち着いたからといって自己判断で治療を中断したり、受診をやめてしまったりすると、気付かないうちに再び炎症が進んでしまうことがあります。
定期的に耳の状態を確認し、小さな変化のうちに治療を調整することで、大きく悪化することを防げる場合があります。
当院では、その子の耳の状態に合わせて定期的なチェックをご提案しながら、長く快適な状態を維持できるようサポートしています。
まとめ
外耳炎は、犬によくみられる病気ですが、「耳が汚れた病気」ではありません。
耳の中で炎症が起こっている状態であり、その背景にはさまざまな原因が隠れていることがあります。
私たちは、外耳炎の治療は「耳をきれいにすること」が目的ではなく、犬が快適に生活できる耳を取り戻し、その状態を維持することが目的だと考えています。
だからこそ、
- 自己判断をしないこと
- 定期的に耳の状態を確認すること
- 悪化する前に軌道修正すること
を大切にしています。
愛犬が耳を気にする様子や、耳の臭い・耳垢の増加など、小さな変化でもお気軽にご相談ください。
「優しく、根気よく、丁寧に。」
愛犬にできるだけ負担をかけないよう、一緒に耳の健康を守っていきましょう。
次回予告
「点耳薬で良くなったのに、また外耳炎になってしまった…。」
なぜ外耳炎は繰り返してしまうのでしょうか?
次回は、外耳炎の「本当の原因」と再発しやすい理由について、わかりやすくご紹介します。





