猫を病院へ連れて行く際に欠かせないキャリーケース。
最近では、おしゃれなものやリュックタイプなどさまざまな製品が販売されています。
もちろん見た目や持ち運びやすさも大切ですが、動物病院で診察する立場からすると、実は「形」がとても重要です。
今回は、通院時のキャリーケース選びについてお話ししたいと思います。
▶︎ キャリーから出せないことがあります
診察室では、
「キャリーから出てきてくれない」
ということが珍しくありません。
特に怖がりな猫ちゃんでは、キャリーの奥で固まってしまったり、逆に必死に逃げようとしたりします。
中には恐怖から怒ってしまい、触らせてくれない猫ちゃんもいます。
そのため、実は診察そのものよりも、
「キャリーから安全に出すこと」
が最初のハードルになることがあります。
▶︎ 上から開くタイプがおすすめです
横開きだけのタイプは、猫ちゃんが奥に入り込んでしまうと取り出すのに苦労することがあります。
その点、上部が大きく開くタイプは猫ちゃんを上から確認しやすく、取り出しも比較的スムーズです。
▶︎ 上下分離できるタイプはさらに便利です
当院で特におすすめしているのは、上下が分離できるタイプのキャリーケースです。
猫ちゃんが出てこない場合でも、上部だけを外して診察することができます。
特にリッチェル製品の一部のように、下側がお皿のような形になるタイプでは、猫ちゃんによってはそのままの状態で
- 聴診
- 注射
- 一部の検査
などを行えることがあります。
無理に引っ張り出す必要がなく、猫ちゃんのストレス軽減にもつながります。
▶︎ 「上下分離できる」だけでは不十分なこともあります
実は、上下分離できる構造であっても、分解するまでに手間がかかる製品もあります。
猫ちゃんが興奮している状況では、ロックを外したり、ネジを外したりする作業が意外と大変です。
そのため、
「上下分離できるか」
だけでなく、
「診察室で簡単に分離できるか」
も重要なポイントになります。
▶︎ リュックタイプについて
最近はリュックタイプのキャリーも人気があります。
- 両手が空く
- 移動しやすい
- 公共交通機関で使いやすい
といったメリットがあります。
一方で、診察の視点では注意点もあります。
リュックタイプは開口部が狭いものが多く、猫ちゃんが奥に入り込んでしまうと取り出すのに苦労することがあります。
また、上下分離できない製品も多いため、病院での診察を考えると使いにくい場合があります。
もちろん用途によっては便利な製品ですが、
「病院へ連れて行くためのキャリー」
として考えるなら、診察時の使いやすさも考慮して選ぶことをおすすめします。
▶︎ 洗濯ネットもおすすめです
猫ちゃんによっては、病院という環境そのものが大きなストレスになります。
そのような場合に活躍するのが洗濯ネットです。
洗濯ネットに入ることで適度に体の動きが制限され、落ち着いてくれる猫ちゃんも少なくありません。
また、
- 脱走防止
- 診察時の安全確保
- 猫ちゃん自身のケガ防止
にも役立ちます。
▶︎ ネットは目の細かいものがおすすめ
使用する洗濯ネットは、目の細かいタイプがおすすめです。
目が粗いネットは、
- 爪が引っ掛かりやすい
- 猫が絡まりやすい
- 外の様子がよく見えるため興奮しやすい
ことがあります。
また、猫ちゃんがぎりぎり入るサイズではなく、毛布やタオルを洗うような少し大きめのサイズが使いやすいと思います。
▶︎ ネットの重さを測っておくと便利です
もし通院時に洗濯ネットを使用される場合は、あらかじめネットだけの重さを測っておいていただけると助かります。
猫ちゃんによってはネットに入ったまま体重測定を行い、後からネットの重さを差し引いて体重を計算することができます。
無理にネットから出したり、何度も抱き上げたりする必要がなくなるため、猫ちゃんの負担軽減にもつながります。
▶︎「かわいそう」ではなく「安全のため」と考えてください
洗濯ネットに入れることをかわいそうと感じる方もいらっしゃると思います。
確かに自由な動きを制限することになります。
しかし、病院では恐怖や緊張からパニックになり、
- 飛び出してしまう
- ケガをしてしまう
- 診察ができなくなってしまう
こともあります。
洗濯ネットは猫ちゃんを押さえつけるためではなく、
猫ちゃん自身と周囲の安全を守るための補助具
と考えていただければと思います。
▶︎ 最後に
キャリーケースにはさまざまな種類があり、それぞれにメリットがあります。
用途に合わせて使い分けるのが理想ですが、病院へ連れて行くことを考えるのであれば、
- 上部が大きく開く
- 上下分離しやすい
- 猫を無理なく取り出せる
といった点も重視していただくことをおすすめします。
「好きなデザイン」よりも「診察時に使いやすい形」を選ぶことが、結果的に猫ちゃんのストレス軽減や安全な診察につながることがあります。





